呼吸器科とは

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呼吸とは、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出することを言います。それに携わる器官を総称して呼吸器と呼びます。
具体的には、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺などの部位で発生した病気や症状について診療いたします。

咳がなかなか止まらない、痰がよく絡む、息切れや息苦しさを感じる、喉がムズムズ・イガイガするなどの症状があれば呼吸器内科をご受診ください。
診察時に検査が必要と医師が判断すれば、血液検査(アレルギー体質の可能性の有無、アレルゲンを調べる 等)、画像検査(X線撮影 等)、呼吸機能検査(スパイロメトリー、呼気一酸化窒素濃度測定 等)なども行います。
これらの結果なども含めて総合的に判断し、診断をつけていきます。

以下のような症状があれば当診療科をご受診ください

  • 咳が長引いている
  • 「ヒューヒュー」「ゼーゼー」などの呼吸音がする
  • 少し体を動かすだけで息切れがする
  • 胸部のX線撮影(レントゲン検査)で異常な影を指摘された
  • 禁煙したくてもタバコを止めることができない
  • 痰が絡みやすく、切れにくい
  • 声がれしている(嗄声)

など

呼吸器科で扱う代表的な疾患

  • 風邪症候群
  • インフルエンザ
  • 肺炎
  • 気管支喘息
  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  • 咽頭炎
  • 扁桃炎
  • 肺気胸
  • アレルギー性鼻炎
  • 花粉症
  • 気管支拡張症

など

主な呼吸器疾患

インフルエンザ

インフルエンザウイルスに感染することで発症します。感染経路は、飛沫感染や直接感染で感染力は強いです。
同ウイルスは、大きくA、B、Cの3つの型に分けられ、A型の中には様々な種類(亜型:Aソ連型、A香港型 等)があります。流行するのはA型もしくはB型です(日本では12月~3月が流行シーズン)。
ちなみに流行する型というのは毎年異なります。

感染後1~3日程度の潜伏期間を経て、突然の高熱や寒気がみられ、頭痛、鼻水、喉の痛み、関節痛、全身倦怠感などの症状が現れます。
熱に関しては2~3日で下がるようになりますが、その後も数日程度は感染力が残っているので安静に過ごします。
なお、小児や高齢者、基礎疾患がある方で免疫力が低下している方は重症化のリスクが高く、肺炎やインフルエンザ脳症(小児の場合)などの病気を併発することもあります。

治療に関しては、抗ウイルス薬はありますが、発症後48時間以内に使用しない限りは効果が乏しいとされています。
また対症療法として解熱剤などを使用することもありますが、基本的には安静にし、体調が回復するのをひたすら待ちます。

気管支喘息

主に鼻や口などからアレルゲン(抗原:アレルギーの原因となる物質)を吸い込んで、気管支が慢性的に炎症を起こすことがきっかけとなります(アレルゲン以外では、過労・ストレス、風邪、大気汚染、喫煙、運動 等)。
それによって空気の通り道が狭くなってしまい、「ゼーゼー、ヒューヒュー」などの呼吸音(喘鳴)が聞こえるようになるほか、少しの刺激で咳が出始めるとなかなか止まらなくなって呼吸困難になるなどの喘息発作等がみられるようになります。

治療に関してですが、喘息発作がある場合は気管支拡張薬や痰切り薬を使用していきます。
また喘息発作を起こす原因となる慢性的な炎症を抑えるための治療としては、ステロイド吸入薬等を使用していきます。
このほか、アレルゲンが判明している場合は、それを避けるための環境を整えることも大切です。

COPD

喫煙や化学物質(大気汚染)などによって有害物質を吸入し続け、気管支が慢性的な炎症を起こす、あるいは肺胞が破壊されるなどして、肺機能が低下して様々な症状がみられている状態をCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と言います。
なお原因の大半はタバコです。

よくみられる症状は、咳が何度も出続ける、痰が増えるというもので、動作時に息切れするようにもなります。
病状が進行すると安静時でも息切れするようになります。さらに体重減少、肺炎や肺がんを併発しやすいというリスクもあります。

治療に関してですが、喫煙をされている方は禁煙をします。
そのうえで気管支拡張薬や吸入ステロイド薬、痰切り薬などの薬物療法をしていきます。
また併せて身体機能の低下を防ぐために体力を向上させる呼吸器リハビリテーション(エルゴメーター 等)も行っていきます。
なお症状が重度になると酸素療法などが用いられるようになります。

肺炎

肺に炎症が起きている状態が肺炎です。
原因としては、肺の組織に病原体(ウイルス、細菌等)が感染し、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎を発症するという感染症の肺炎(感染経路は飛沫感染、接触感染)をはじめ、投与している薬剤が引き金となって発症する薬剤性肺炎、アレルギーに伴って発症する肺炎もあります。
このように原因は様々ありますが、その中でも肺炎球菌による細菌性肺炎の患者様が最も多いと言われています。

主な症状ですが、発症から3~4日が経過しても発熱(38度以上)や強い咳が続く、黄色や緑色の痰が出る、胸痛や息切れ・息苦しさがある、などが挙げられます。
何の前触れもなく、上記の症状が現れたという場合は、速やかに当院をご受診ください。

治療に関してですが、原因が特定されていて細菌によるものであれば、原因菌に対する抗菌薬を使用していきます。
なおウイルスには特効薬はありません。
このほか対症療法として、発熱の症状があれば解熱剤、咳の症状がつらければ咳止めなどの薬物療法を行っていきます。